山岸諒子
現在、30代、40代になっても芝居を続けている、実力のある女優さんはとても多くいらっしゃいます。
が、どうしてもこの年代になると、女優の役柄は、漠然とした「中年の女」という枠に、少しずつ囲い込まれていってしまいがちです。
実際に現代の30代以上の女性は、多種多様な価値観を持って、個性的な生き方を選択しているのに、その年代の多くの女優は、なかなかそんな役には巡り合えない。
それは、演じる側のみならず、見る側にとっても、あまりに飽き足らないことなのではないか、ここ数年、そんな思いを抱くようになりました。
おかげさまで離風霊船の体質では、年令を重ねたからといって、判で押したように同じ型の役柄ばかり与えられるということはありません。
が、そんな私でも、ある種の焦りを日に日に感じるようになってきているのも事実です。
まったくの箱入りで育ててきてもらったからこそ、これだけの年月を芝居に掛けてきた答えを、一度自分に問う時期が来ているのではないか・・・そう感じた時、すべてを一から始めてみようという決意ができました。
そうやって改めて周りを見た時に、この年代の女優たちが、重ねた歳月を個性として表現できる場を、いかに渇望しているかを知ったのです。
一人の人間として、また成熟した女性として、あでやかな誇りを持って舞台に立ちたい・・・そう思っている女優さんが思いのほか大勢いて、それはまた意外にも、共演者である男性の俳優さんたちにとっても、求めて喜ばしきものである、ということに勇気づけられ、女がいつでも女でいられる芝居を、たくさんの人たちと作っていけるのではないかと思うようになりました。
生きる歓びを謳歌できる、大人の男と女のエロティシズムが豊かに溢れる舞台をやっていけたら、そして、見ることで、お客さまにも同じ思いを感じて頂けたら、私が舞台を続けてきた20年の意味になるのではないかと、思っています。