カット前に、胡桃と白金と雪子のトライアングルのシーンがありました。

胡桃は、両親の離婚によって、
母に連れられ鎌倉で少女時代を過ごします。
15才の時に、その母が再婚することになって、
彼女はヴェネツィアに戻ることを選びます。

だけど、柴教授はあの通りの人ですから、
とても情のこもった親子の通い合いなどできなくて、
娘への贖罪を抱きつつ、
自分の成すべき事のみに一心に向かう姿勢を変えません。

胡桃が見ていたのは、いつも父の背中だけでした。
それは寂しい日々だったけれど、今の胡桃には、
そんな父親の在り様が分かります。

何の為に生まれてきたのか。
どこに向かって行けばいいのか。
人は、その“仕事”を探して生を辿っていくのでしょう。

白金も然り、雪子も然りです。

けれどそこまで深遠なものとは、雪子は意識していない。
ただひたすらに、自分と周りの人々との生活を、
一生懸命つむいでいくだけ…それが雪子の仕事なのです。
その素直さに、胡桃と白金は生きることの気高さを感じる、
そんなシーンでした。

「いいなあ…いい」という一言だけに、すべてを込めたタカコちゃんと、
それを見つめるゆかぞうのまなざしです。