Sir Frank Dicksee
          *** フランク・ディクシー卿とラファエロ前派の甘い世界 ***





 

 カフェ“ドルチェ・ヴィータ”    
discoverTOKYO さん ご提供
イラストを描いて下さった上に、RoseGardenの為にgifアニメ化してくださいました!
おか@よよさん、本当にありがとうございます!
  壁に掛かった3枚の絵

下手=『La Belle Dame Sans Merci』 正面=『An Offering』 そして上手で自動開閉してる 『Romeo and Juliet』

RGは数年に一度の個人企画なので、
どうしても自分の好きなものてんこ盛りでやりたい、
という事になってしまうのですが(笑)
今回出したかったモノの一つが、フランク・ディクシー卿(1853-1928)の絵画です。

もともと憧れの地、ヴェネツィア絡みのロマンスを書きたくて、かつ、
白金隆之が、大好きなハリソン・フォードみたいな人だったらいいな〜、
なんてところから推考を進める中、
考古学者ではあまりにもあからさまなパクリなので、
イタリア美術史のセンセイってのはどーよ?と思い立ちました。

ホントのところ、どんな学問なのかよく分かっていないのですが(^ ^; )、
美術史ってなんでもアリな感じがして・・・なんか見つけに行ったりも、するかも?
なんてなわけで、
“イタリア美術史界のインディー・ジョーンズ”として、この二つが結びついたのです。
となると、何か絵を探さなければ・・・。

本当は、なんたってルネッサンスのお国ですから、
イタリア系の絵で行きたいところだったのです。
ボッティチェリもダ・ヴィンチも大好きなのですが、なにせどれもあまりに有名すぎて・・・
これに何かネタを絡めるには、あたしの教養がまったく足りず、いや、皆無!
ゆえにとても展開できましぇんと挫折。

ヴェネツィア派という、まさにご当地にダイレクトなカテゴリーもあったのですが、
宗教色が濃ゆいか思いっきりな裸体かと極端すぎて使いづらく、これまた挫折。

どーしよーなんて思いながら、煙の出始めた頭休めの為に、
ルネッサンスでもっとも好きな画家ラファエロで、ぽらぽらネットサーフィンしていたら、
あん?なんだこのラファエロ前派って???

なになに…あー19世紀に英国で起こった絵画の学派なのね、
 天才ラファエロのテクニックがあまりに凄すぎて、
 以降数世紀、みんな形式で絵を描く方向に走りすぎ!
 ラファエロ以前のルネッサンスの精神に戻って人間の自然=リアルを描こうぜー!
と言って、王立美術学校の生徒たちが作ったグループだったわけか。
ふむふむ。ふむむっ?!

こ、これは・・・なんとうつくしい “ロミオとジュリエット” ・・・!!








  ←『ロミオとジュリエットの扉』
    さあ、お開けあそばして・・・











ロミジュリと言えば、世界一ロマンチックな恋人たち。
しかもっ、イタリア人じゃんっ!
しかもしかもっ、この絵の二人はタイトルを見ないとそれとは気づかぬ出で立ちっ。
つ、使えるかも・・・なんかこの絵で仕掛けが出来るかも!( →はい、ガッツリ仕掛けました。

わたくしとサー・フランク・ディクシーとの、運命の邂逅でございました。

サーってぐらいですから、偉い人です。
お父さんもおじさんも兄弟姉妹もみんなペインターです。
ラファエロ前派には途中参入してきたようですが、
最終的には学派の長、Presidentにまで登りつめ、サーの称号も得たようです。
肖像画で有名な人だったようで、
てなぐらいですから、この人の描く女性は本当に麗しい。

 甘い生活には使えませんでしたが、
 ミランダ、 イズー
 なぞ、もう〜うっとりなまなざしの乙女たちです。

卿の描かれた絵は、ひたすら甘く、ロマンチックにして繊細優美・・・
どれもこのハートをぐわしっ!と掴んで離さず、
もはやワタクシは、忠実にして完璧な下僕となってしまいました。

なんでイタリアの話のキーポイントがイギリス絵画?
いつか誰かにツッコまれても、えー好きだから、としか答えられない、
言い訳ナシのスリルな選択でしたが、惚れちゃったんだからしょうがない!
この運命の出逢いにより、かくして亡き父が問題の媚薬を隠し置く場所は、
“ロミオとジュリエットの扉”と呼ばれる事に相成ったのでございます。

のっけからロミジュリ、ロミジュリと騒いでいたので、お客様の中には紅子に先んじて、
「アレじゃないのお〜?」
と見破られていた方もいらしたようですが、
とにかく1枚じゃすぐバレちゃいますから、
ダミーを用意しなければなりません。


実は、当初から惚れ込んだ絵がありまして、
それが、
“La Belle Dame Sans Merci”
〜ラ ベルダム サンメルシ〜





  ←『美しき誘惑の扉』
    さ、さ、ご遠慮なく・・・







“つれなき美女”

ここでは色味が上手く出ていないと思うのですが、
この乙女の顔色とばら色の衣の質感が、本当に甘く美しく。。。
男女二人の構図でダミーを探していたのでウッテツケだし、
ドルチェ・ヴィータにぜったい飾る!と決めておりました。
あたしの愛Mac君の壁紙にもなってます。

舞台では、細工の都合上表面が光ってしまって、
あと、人物が小さめに描かれている為、
いまひとつこの絵の素晴らしさが届かなかったような気がして、
チョット心残り。。。
この絵の下に、赤い薔薇たちを活けました。


そして、もう1枚のダミー。
う〜ん、この選定がなかなか難しく。
候補としては、ハーモニーという作品もあったのです。


これは男性のコスチュームがロミオっぽいので、
かなり迷ったのですが、
3枚並べると“La Belle…”だけが浮いてしまう可能性もあるし、
甘いの狙いよりちょっと清純すぎなのが気になってまして、
どうせバラバラの雰囲気で集めるんだったら、
もっとコ惑的な絵の方がいいなと思うにいたり、
。。。

なにより、
男性が瓶を手にしているように見えるのが、この芝居には意味深で、
これに決めました。
“An Offering”(
アン オファーリング





  ←『華麗なる駆け引きの扉』
    さあ、どんなでしょう・・・








“告白”
舞台正面、真ん中に掛かっていた絵です。
なんか男性がハーモニーとおんなじ人のような気もするが…、
ま、ともかく、なんか持ってる・・・
それが決めてサ。



ラファエロ前派の絵の主題は、
シェークスピアやアーサー王物語など、
英国の人々に身近な素材からピックアップしていたようです。
この派の有名どころと言えば、
ロセッティやウォーターハウス、ジョン・エヴァレット・ミレイ。

オフィーリアを好んで描いたようです。
でも、それだけに、どことなく死の影がつきまとう画風が、
重くまとわりつくようで、個人的には素通りしたい感があり。。。

ディクシー卿の絵には、
その重暗いモノがありません。
オフィーリアではなく、ジュリエットの、
恋の陶酔の極致に我を忘れて浸りきる姿、それを選んで描いたところが、
とっても好ましく思ってしまいます。

ラファエロ前派の画家たちは、そのスキャンダラスな私生活と共に、
日本で言うところの、ちょっと無頼な、芸術至上主義の画家集団といった様相ですが、
その中にあって、ディクシー卿は生活する事を知っている、
地に足の着いた画家だったように感じます。

アカデミーに入学するまでの師であったお父さんが、
庶民の求めに根ざした肖像画家だった影響でしょうかね、(
お父さんの絵。見る?
卿の絵画もどことなく可愛げのある作風なのですが、
人は芸術を語る時には、重厚さや格調の高さを基準にしたいようで、
甘美に過ぎるものには、どうも点が辛くなる気がします。

ラファエロ前派自体、ある意味、イラストレーションの走り?
というような軽んじられる傾向があるようで、
増してや、中でもロマンティック一本槍のディクシー卿には、
アカデミックな評価があまりなされていないようです。
が、
この繊細なタッチと、一目で心に飛び込んで来る甘い情緒性、
そして陰影に富んだ確かなテクニックは、
決して、いつまでも脇に押しやられているものではないと思います。

ファンとしては、あまり多くの支持を得られるというのも複雑ですが、
もっともっと日本でも、卿の世界の素晴らしさを知られるよう願っています。