<Day By Day>

7月23日(水)さ、さぶい・・・



丸諒のお話解説その三だす。


はて、ここはいったいどこかいな。
えらい薄っ気味の悪いとこへ来てもうたもんや。

西鶴せんせは、今、ミョ〜な空間にいてはります。
なんちゅーか、生き物の気配のない世界。。。
海の底のような、中有の闇のような。。。


おまえさま、源五兵衛さまを見ませなんだかえ?
いきなり女が出現してビックリや。
なんや?源五兵衛やて?
もう、どこ行きなはったんやろ。
源五兵衛。。。
女は去って行きました。


なんやちゅうねん??
と、また誰かが来はった。
茂兵衛、どこにおるのや、茂兵衛。
茂兵衛て。。。
そこにおられるんは、おさん様やありまへんか?
また誰か来よった。
わたしは、樽屋おせん言います。

え?おせん?
に、おさん?
そしたらさっきのは、おまん?
て、好色五人女の三人やないか、ええ?!
どうも、妙なとこへ迷い込んだもんやな。

そおなんだす。
西鶴せんせは、どうやら死んだ人たちの魂がさまよう、
幽界に入って来てしもたようなんだす。
ありゃりゃ。。。
せんせがうろたえてはる内に、
そっちゃの方では、おさん様とおせんはんが何やら揉めてます。





どうもおせんはんは、男の後を追っかけたはるおさん様に、
(紛らわし!この二人)
忠告したいようなんだす、
男の気持ちほど当てにならんもんはない、て。
おせんはんは、ま言うたら、
濡れ衣による逆ギレ不倫をご亭主に見つかって、自害しはった人妻、
てことで有名なお人なんやけど、
逆ギレちゅうのもウソなら、浮気かて未遂や、言うてんのに、
亭主が信じてくれへんから死ぬハメんなった、て、
男性不信になったはるんや、まあー大変や。

けど、おさん様は同じ人妻でも、
最期まで茂兵衛はんと一緒にハリツケの刑になるほど、
激しい恋をまっとうしはったお人やから、
おせんはんの言わはることが、
今ひとつピンときはらへんのや、ま、無理もないわな。


線路は続くよどこまでも、て感じで、
二人は別れて行かはった。
ふう〜。どないなってんねん、ここは。
こっそり隠れてた西鶴せんせ。
いや、待てよ、ここが好色五人女の世界なら、も一人残っとる、
しかも、とびきりウルサイ娘が。。。


熱い、熱い、熱い!
で、出よった、やっぱり。
八百屋お七や!
漆黒の闇には、あっという間に紅蓮の炎が広がって、
お七はんは半鐘を鳴らしながら、熱い、熱いと身悶えや。
なんとかしてぇ、
て言われても、どっしょもない、自分で付けた火なんやもん。

気を失ったお七はんに、恐る恐る近付いて、
西鶴せんせは、はたと気付かはった。
熱ないやんか。
はあ。。。こら夢やな。
さすがは西鶴せんせ、お七はんの火ィを消すんも、
好色五人女の作者やったら自在ですなあ。
おせんはんが、表れはった。


ここで会うたが百年目。
おせんはんは、西鶴せんせに積年の恨みをぶちまける。
ストーカーと化した麹屋の長兵衛に、
無理無理手込めにされたのが真実やのに、
意地の張り合いで不義密通したやなんて、汚名を着せられた、て。
けど、西鶴せんせは動じまへん。
そうかいな。
心のどこかで、以前から、己を見とる男の目を、楽しんではおらなんだか。
男は、イケルて思うて初めて踏み出せる生き物やで。
うーん、鋭い。
さすがは作家センセイや、確かに女にはそないなとこある。。。
丸諒的にはこの勝負、せんせの勝ち、かナ。


うちかて言いたいことがある!
お、お七、目ぇ覚ましよった、ああ。
お七はんも恨み骨髄や。
なんと、日本のロミオは、名前間違いされてる、て。
ほんまは、庄三郎さまや!
吉三郎は、火ぃ付けろてそそのかしたゴロツキの名やった。。。
あちゃー、そら怒るわ、せんせ。
よう調べてから書かんと。
せんせも、後からそれに気ぃ付いたさかい、
お七はんが煙たいんやね。
そうでなくても、ほんまに火ぃ付けた人やもんな、
煙たくて当たり前や、はは。
直して直して直して直して直して直して直して直して直して直して直して・・・。
どないするんだす、もうお七はん、止まりまへんえ。
ま、これは お七はんの勝ちやね。

騒ぎを聞き付けたわけやないやろけど、
おまんはんも、おさん様も合流しはった。
さあ、おまんはんや。
丸諒、アレ絶対聞きたい。
ちょっこし、いんたびうーに出掛けたろ。

諒:あのお、源五兵衛はんて、ほんまに男色家だったんだすか?
ま:違います。                      
諒:あら、やっぱりぃ?                  
  ま:ほんまモンの男色家が、おなごとみそかごとしまっかいな。  
諒:そらそうですわな。                  
ま:男装したんも、おなごが近付いたら寺を追われるからや。 
諒:それもそうだすな。                  
ま:せんせがハッピーエンドに書いてくれはったのは、    
ウレシカッタけど(はあとまーく)。        

 けど、
おまんはんは、ごっつ頭のええ人やさかい、
丸諒も騙されてるかもしれへん。
ほんまのところは、薮の中。

おまんに、おさんに、お七に、おせん。
あと一人来たら、五人女の揃い踏みや。
けど、お夏はんはまだ生きたはるよって、ここには参加できまへん。
取り残されてしもて、かわいそになあ。
けど、恋に震えるほんまの歓びを知れて、
幸せやった、と意気投合する三人に、
おせんはんだけ、蚊屋の外。
ポツンとつぶやいた。
けど、それはいっときのことや。恋の熱は、いずれ冷める。。。
ローレン・バコールみたいにクールな人や。
(知らへん?ハリウッドの女優さんや。カッコええの。調べたって。)

あ?なんや、野次馬の声が聞こえて来た。
あれが不義密通した大経師の女房や!
地獄へ堕ちろ、売女!
おさん様を見に来たヤツらや、ヒドイなあ。
けど、おさん様は毅然としてはる。
私は、誰にも出来ん、命懸けの恋をしてのけたのや。
人は、こないに誇らしい、満たされた思いになれるんやで。
あんたらの誰が、この思いを味おうたことがある?


けど、今の世の中と違おて、
人妻の不倫はヘタしたら死刑やもんなあ、
そいで、夫の方は、なんぼ浮気したかて当たり前なんや、
なんちゅ理不尽な話。
男女の差ぁなく成敗すんやったら分かるけど、
っちゅーか、そんなもんぐらいで死罪なんかすな!阿呆。
徳川幕府がでけるまでは、もっと世の中大らかだったんやでー。

女たちも、そこんとこが一番ハラ立つとこなんやね。
西鶴せんせ自身、進歩的なように見えて、
ほんまはガチガチの儒教人やからね、
男が一番、ちゅう人や。
けど、この世界では1対4や。
どんなにせんせが説明しはったところで、
女に理屈は通りまへん。
い、いや、ちょっと待て。。。
多勢に無勢で、せんせが責め落とされそうになってると、
男がヒラリと表れた。
あ、あの菅笠は・・・清十郎や!
キャー、カッコイイ!




けど、おなごはんたちは、みーんな自分の男と勘違いして、
清十郎を追い掛け回し始めよった。
茂兵衛〜!
庄様ぁ〜!
源五様〜!
あ、あれは。。。
へ?
あれは、私を追い回した長兵衛はんやない?
私に逢いとうて、ここまで追うてきたんやね。
う、え?!おせんはん、あんたまで。。。
長兵衛はぁあん!
うそつき。


だぁーっ!ちゃう言うてるやろ、ひつっこいわい!
せ、千次?!
げげー、なんでこんなモン追い掛けてもたんやろ、損した損した。
じゃ、じゃかあし!ちくそお、こんなモンで悪かったな!
せんせ、もうええ加減、早よ起きとくんなはれ。
あー、西鶴せんせは寝床の中でうなされてはるんやね、今。
そそくさと、退場しようと思うたら、
せんせ、逃がしまへんえ。
。。。なんや、雲行き怪しうなってきた。
わたしらとせんせは、深〜い縁で結ばれてるのやから。
せっかく来られたのやから、
ここにずーっといとくんなはれ。
わしは、お前らのこと、浮世草子に書いて供養してやったやないか。
追い詰められるせんせと千次。

御用だ!御用だ!
今度はなんや?
捕り方やっ?!なんで?
清十郎、御用だ!
言うたが早いか、お役人は西鶴せんせを捕らえはった。
なんで、わし?
わしゃ、清十郎やないよお。
黙れ!お前は主人の妹お夏をたぶらかし、七百両を盗み出させて、
持ち逃げしたな。
どこへ隠した!覚悟せえ!
お役人の刀が、振り下ろされようとしたその時。
幻のように、お夏はんが表れはった。


お金は、後から出て来ました。
車長持ちに移しておいたのを、忘れていたのや。
けど、それは清さまが死んで、ひと月半も後になって分かったこと。
清十郎様は殺されはった。
そして私は家に閉じ込められ、長いこと清様が亡くならはったことさえ、
知らずにいたのや。。。
ああ悔しい。
自分も世間も、何もかもが恨めしい。


美しかったのに、可愛かったのに、やっぱりみーんな幽霊やったのね。
恨めし。怨めし。うらめしや〜。
女たちは、一斉にせんせに取り付いたひゃー!

ええ加減にせんかい!

西鶴せんせの一喝で、
さまよえる霊たちは、吹き飛ばされてしもた。
ほっ。。。


げに、女ちゅうもんは、どえらい執念の生き物や。




西鶴せんせは、どうやらこのまま、悪夢から戻って来られそうや。
起きたらさぞかし、汗ビッタリやろ。
けど、こない律儀に責め立てられる夢見るなんて、
せんせも事実の脚色には、ちょっこし罪の意識がある、
言うことやろか?

さてさて、これで二幕は終わりだす。
結局、一幕で勃発した問題は、
な〜んも解決されんと、まだ積み残したままやね。
早よ、今生に戻らなナ。
なにせ、感動の大団円が待ったるさかい。

お楽しみに。
ほな、お世文字さまでございました。








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