<Day By Day>

7月11日(金)むしむししてきたなぁ



丸諒のお話解説その二だす。
どないなつもりで来はったんか、一筋縄ではいかへん様子のお梶はんを前に、
震え上がる小羊たちとお猿一匹。(て、誰のことや!by千次)
いったいこの先どうなってゆくんや。




「着いた、着いた。懐かしの我が家や〜。」
何も知らんと、脳天気に帰って来はりましたわ、
我らが主役、西鶴せんせ。
好色五人女の売上げ50両を懐に、お供の忠助はんと早や遊びの算段や。
右から左で、お金もせんせのとこでは休む暇ももらえん。
けど、そんな呑気にしてはる場合ちゃいますでぇ。


まずせんせ、真っ昼間からいきなり千次がおってビックリや。
ま、ロクなことやないなて思うた通り、
千次はゆんべ、店の女郎から無理心中を仕掛けられ、
刃傷沙汰からほうほうの体で逃げてきたのやった。
それも、女郎に惚れられたからやのうて、
当てつけ心中の相手にされただけちゅうのが真相やから、
ドン臭い話や。
けど、売りもんの女郎の顔に傷をこさえてしもて、
新町に帰ったら千次は半殺しや。


郭の男衆のほんまの仕事は、いざ抱えの女郎が足抜けを計ったら、
ボコボコにしてでも連れ戻す、
かなり荒くれた内容だったりするわけやね。
向かんのよ、この男には。
あんじょう話をつけたるから、これを潮に郭モンから足洗え、
て諭されても、そう簡単に踏ん切りもつけられへん。
人がええ子なんやな、ほんまは。


さて、西鶴せんせの目ぇに止まったのは、見知らぬ婆さん。
誰や、あんた。
おなつや。
へ?
お夏清十郎のお夏じゃ言うてんねや、この因業爺ぃ!
おどれのおかげでさんざんな25年やったんや、
どうしてくれる!
どうして、て言われても今頃んなってそんな。。。
いひゃあー!
とーとつにあらぬ声を上げたんは、忠助はんや。
どないしたん。
忠助はんは、お梶はんの顔を見るなり逃げてってしもた。
な、なんや?


そないややこしいところへ来はったのが、
せんせの息子の藤吾はんや。
しっかり者の堅物で、
粋やら情緒やらいうもんの入り込む余地のない、
この若旦那はん、あいやいや、
今は旦那はんの藤吾はんに、せんせはまったく頭が上がりまへん。
その上いっしょに、大黒屋のお常はんまでいてはる。
な(んでこの二人が)?
な(にしに)?
な(んちゅうこっちゃ)!
慌てるせんせ。
一難去ってまた一難や、て、何も解決してまへん。
なんや知らん、問題が次から次へと降ってくる。
さっき帰って来たばっかしやのに。。。


やり手のビジネスマン藤吾はんは、
さすがに鮮やかにお人払いをしなはって、ご自分の本題に入らはりました。
・・・怒ってはる。
せんせの大黒屋はんのつけが、75両にも膨らんどるから。
うそお?!
75両言うたら、今のお金で465万円ですがな。
丸諒もあんぐりだす。
けど、元禄言うたら300年前のバブル期や。
考えてみたら、土地転がしやら株式相場やらで、
平成バブルの時代にも、一晩で何十万て使えるお人がゴロゴロしてたんやもんなあ。



そういえば、西鶴せんせのご実家は紙問屋や。
ちょうどこの頃、黄表紙本いう、
今で言うところの単行本みたような刊行物が出始めて、
紙の需要が一挙に増したさかい、
せんせのお宅も相当潤ってはったんとちゃうやろか。
もっとも、紙を仰山使うようになったんは、
ベストセラー作家のせんせの仕業と言えんこともない。
自家循環商法て感じ?
それとも、家に唸るほど紙があったさかい、
せんせは作家になったんやろか。
うーん、にわとり玉子やな。


しかし、せんせもようもそんだけ遊ばはって。。。
お常はんも、そこは生き馬の目ぇを抜く郭の女将、
せんせの泣きどころをちゃあんと押さえて、
若旦那はん、あいやいや旦那はんのお店へ、
「ご挨拶」に行かはったんだすな。
はんなりか弱いおなごのフリして、あなどれまへん。

西鶴せんせはさんざん息子はんにお説教されて、
ほんまにもうぐうの音も出えへん。
お常はんは、そこは大事なせんせのことやから、
やんわり上手にフォローしてくだはります。
けど、もとはと言えば、あんたが藤吾んとこに行かなんだら、
こないに怒られることもなかったのにぃ、
もお、お常はんのいけず。
て、もともとのもとは、せんせの遊び過ぎのせいですやろ。
お常はんは、ひらりひらりと手を変え品を変え、
なんとか息子はんからご返済頂こうと押したり引いたり。


けど、藤吾はんは絶対出さん、てテコでも動かん。
世間からちやほやされて浮かれっぱなしの親父様に、
熱いお灸を据えな危ない、て、
心配したはるんだすな。
けどそれを、やさしい言葉にしてやれん、
せんせとは併わせ鏡のような、不器用な息子なんやね。

ご自分の始末はご自分でつけなはれ。
算段がつかんと言うのやったら、この家売ったらよろし。
ええええ?!そんな殺生な〜・・・
あ?
せや、わし50両持っとったんや!
さっき版元の森田屋からもろたんじゃ。
おまえが嫌う好色五人女が、これだけの金になったんやで〜。
狂喜乱舞するせんせとお常はん。
とりあえず1ヶ片付いた。
と思たら、
「ちょっと待ったー!!」


お、お梶はん、あんた全部聞いてたんかいな。
油断も隙もないババア。。。
やかまし!好色五人女で手に入れたっちゅうんやったら、
わしが稼がせてやった金やないけ。
これはみーんなわしのもんや!
そんなご無体な。。。
50両を丸抱えして離さへんお梶はん。
「清十郎、見ていておくれ。そなたの無念、きっと晴らしてやろうから」




お梶はんの目的は?
せんせは借金返せんの?
千次はこのまま半殺しか?
はたまた忠助はんの叫び声には何の意味が?

謎が謎を呼ぶ第一幕は、これにて幕引きだす。
次回はいよいよ『好色五人女』の世界、
第二幕でございます。
それではどなたさんも、お世文字さまでございました。




これほんまは山東京伝。
西鶴とは関係あらへん。


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