〜大迫径編その2

大迫:大学卒業後、バブル全盛期だったんで
    就職しなくても仕事なんてなんとかなる時代だったし、
    とりあえず東京に出てきて、タレント養成所に入ったんですよ。
    そこで面倒を見てくれてる先生が、発表会用に持ってきた台本が
    「ゴジラ」だったんですよ。
    「ゴジラ」を読んだとき、周りにいた連中が皆ゲラゲラ笑ってた。
    台本が輝いていたんだよね。俺も、この台本面白い!ってすごく思ったわけですよ。
    どの役をやりたいか、講師に提出したんだけど、俺はハヤタとモスラとゴジラって書いた。
    それで、結局ハヤタをやったんだよね。
    そのときすでにNHKでバイトしてたんで、自分で全部セット建てて、
    ゴジラの包囲網とか天井から吊るしてね、発表会やったんだよ。
    その後、じゃぁこの大橋泰彦って人の劇団見に行こうって思って、
    かみさんとデートで、本多劇場の「花椿」(1994年)を見に行ったんですよ。
    それでそのパンフに、劇団員募集の一言を見つけるわけですよ。
倉林:なんかさ、発表会でハヤタやって、今まだハヤタやり続けてるんだよ。
    す〜ごい不思議〜面白いなぁ!
大迫:それでオーディション受けて、リブレに入ったわけだけど、
    芝居のしの字も知らないわけですよ。
    ストーリー伝えなきゃとか何も考えることなく、ただ楽しくやれればいいのかな。
    やってみたいな、っていうだけで何年か過ごしていくわけですよ。
倉林:若いときはね、そうですよ。
大迫:当時、「りぶれかぶれ」っていう実験的なことをやる企画があって、
    俺や橋本君とか若い連中は、ただやれ!って言われてレールに乗ってた感じ
    だったんだけど、それが自分の中で変わって来たのは、
    りぶれかぶれPART10 下北沢OFF・OFFシアターの「Long Long Time Ago」
    なんだよね。
    俺は爺さん役で伊東さんの演出を受けて・・・
    そっからですよね、ちゃんと見せる、伝えることを考え始めたのは。

    
     そういえばこの二人、HAKKEN-DENでこんなことやってたやってた!
倉林:「りぶれかぶれ」って最後いつやったんだっけ?
大迫:「HAKKEN-DEN」(2002年)ですよ。
    その「HAKKEN-DEN」についても語ろうと思ってたの、今日。
    「HAKKEN-DEN」の時は、チラシも話の題材も、
    どういったものを作ろうかって皆で話しあったでしょ。
    結局採用されなかったけど、アパートが伸びるとか最初話してたり、
    あの時間がすごく楽しかったんだよね。
    他に思い出に残っているのは「四畳半床之下」(1999年)。
    自分的にきつかったヤツが思い出に残ってるのかも知れないけど。
倉林:私は出てなかったけど、「四畳半〜」面白かったよね。
大迫:本公演ともなると、大橋さんや伊東さんの見せたいものを形にするっていう方向に
    ベクトルが向くけど、「りぶれかぶれ」は、題材を持ち寄ったり決めたりすることで、
    話し合う時間が多くて、皆で何かカタチにしようっていうのがあったかな。
倉林:「おとといの話」も、タイトル決めるのにすっごい話し合ったけど、
    結局「おとといの話」っていうタイトルだったしね(笑)

倉林:径ちゃんの好きな役者とか、憧れの人物とかいる?
大迫:下元史郎さん。
倉林:その心は?
大迫:下元さんをはじめ椿組に関わってるおじさんたちって、クセがあって印象に残るよね。
    一緒に飲んでても、あぁいうおじさんたちは楽しい。
    鄭(義信)さんの芝居の世界とか、トバ(外波山文明)さんがやってることとか、
    トバさんのことが好きでやってるおじさんたちとか、ステキに思えるんですよね。
    物理的なものじゃなくて、ハートな部分で、
    そんなステキな人たちと触れられたらなって思う。
    役者として売れたい、というよりはそういうところに触れていたい。


倉林:じゃぁ、自分はどんな役者でありたい?もしくは何がしたい?
大迫:こうありたいってのはあんまりないんですけど、 “芸”に触れていたいんだと思う。
    別に芝居じゃなくてもいい。
    鹿児島に三遊亭歌之介さんっていう、地元では有名な噺家さんがいるんだけど、
    その人を見たときに「俺、これがやりたかったんだ!」って思いましたね。
    伝えることで人を喜ばせたいっていうことなのかな。
倉林:今はその“芸”に、芝居っていう形で携わってるけど、
    もしかしたら芝居じゃなくて違うところにあるかも知れないしね。
    それはわかる気がする。
大迫:伝統芸能の人たちとかすごくうらやましい。歌舞伎とか狂言とか。
    国に守られて、芸を追及できるなんていいなって。
倉林:すごいよね、あぁいう人たちってね。
大迫:武士道でも書道でも、“道”じゃないですか。それを追求できたらなと。
    俳優道ってものありますね。
    高橋(克実)さんなんてうらやましいですよね。
    周りからあんなにオファーがあって、色んなことを俳優で伝えていながら、
    バラエティの司会とかやってたり。
倉林:芝居もちゃんとやってるもんね。
    ちょっとテレビ見てると、また出てる!とか思うもんね。
大迫:それはスーパーミラクルな宝くじに当たってるようなもんだけど、
    それでも同じ劇団にいた後輩としては、うらやましく思いますよね。
    またそうなってくると、人間世界って面白いなって思うね。


大迫氏ご自慢の一品、ロレックスの時計。
この日は写真映りを意識して、ブルーのシャツをチョイスしてきたそうです。

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